「兄様。お誕生日おめでとうございますvv」

白い頬を桃色に染めて、俺の愛しい妹がそう言った。

ああ、今日も可愛いよ、!!



最強兵器彼女




今日、10月29日は、俺の誕生日だ。

はっきりいって誕生日なんて、祝うほどのものではないと思うが、が祝ってくれるなら話は別だ。

(有難う、誕生日!!)

俺は思わずそう、叫びだしたくなった。

は、俺の妹だ。

イザークと正式に婚約して以来、はイザークと出かけることが増えたため、滅多に家にいない。それだけでも、俺としては腸が煮えくり返りそうなのだ。しかし今日は、俺の誕生日。

も、それを祝うために、家にいるようだ。

「ごめんなさい、兄様。お金なくて、あまりいいものが用意できなかったの。でもね、私なりに一生懸命考えたのよ?兄様が喜んでくれそうなもの」

「ばかだなぁ、が一生懸命考えてくれたんだろう?それだけでも、俺は嬉しいよ」

「……有難う、兄様」

俺が言うと、ははにかみながら、ふわりと微笑んだ。

ああ、本当に、なんて可愛いんだ、!!

イザークには勿体無いよ!!

の婚約者であるイザークと俺は、お世辞にも仲が良いとは言い難い。

初め父上からこの縁談を聞かされたとき、俺は猛反対したのだ。

俺の妹というだけで、を不幸にするんじゃないか、なんて思ったから。

しかし父上は、当のが乗り気なのだ、と言って俺の意見を取り合っては下さらなかった。

……が不幸になったら、速攻母上のもとへ送ってやる……!!

と俺が心に誓ったのは、言うまでもないだろう。

まぁ、確かには幸せそうだ。

イザークも、俺への態度は変わらないが、を大切にしてくれている。

でもなぁ。

もしもとイザークが結婚したら、俺とイザークは兄弟になるんだよなぁ。

しかもイザークが義弟になるのか?

……あんな弟、嫌だ。

(婚約は阻止できなかったが、結婚は絶っっっ対に阻止してやる……!!)

改めて俺はそう、心に誓った。


*                     *



が差し出した、綺麗にラッピングされたプレゼントを、俺は受け取った。

丁寧に包装紙を剥ぐ。

すると20cm四方位の大きさの箱が現れた。

……写真立てとかかな?

このくらいの大きさのものとなると、数が限られてくる。

俺はある程度の予測を立てて、箱を開けた。

「……?これは?」

「写真立てですけど?」

「……うん。それは分かってるよ。そうじゃなくてね。この写真は何?」

「兄様。親友の顔を見忘れたんですか?キラ様の写真じゃないですか」

からのプレゼントは、予想にたがわず写真立てだった。

……キラの写真入の。

「何でがキラの写真を?」

「ラクス姉様が協力してくださったんです。ほら、姉様はこの前、捕虜になられたでしょう?その時、ハロで撮影されたそうです」

……俺、ハロに盗撮機能なんてつけたっけ……?

いや、トリィとにあげたネコ型のペットロボット、にはつけたけどっっ!!
(←つけたんかいっっ!?)

ハロにつけたのは確か、開錠機能だけだった気が……。

「ラスティ兄様が以前、つけて差し上げたそうですvv」

悩む俺を見てか、は俺が尋ねるより先に、答えを教えてくれた。

(ラスティ……!!)

きっと、楽しけりゃいいじゃん☆とか言いながら、俺がラクスにあげたハロの改造をしたのだろう。

ラスティ=マッケンジーはそんな男だ。――いや、そんな男だったと言ったほうが、正しいのだろう。彼はもう、死んでしまったのだから。

「……気に入りませんでしたか?」

「そんなことないよ、。有難う。大切にさせてもらうよ」

渋い顔をする俺を見て、は泣きそうな声で尋ねてきた。

そんなに、気に入らなかったなんてことは言えない。

俺が笑顔を作って、大切にする、と答えると、は本当に嬉しそうに笑った。

この笑顔だけで俺は……!!

「良かった」

は、嬉しそうだ。

俺もそんなが微笑ましくて、思わずその髪を撫でる。

しかしそんな気分も、次の瞬間には吹っ飛んだが。

「イザーク様も一緒に考えてくださったんですよ」

「なっっ……!!イザーク!?」

「はいvv」

はニコリと微笑む。

そしてこう、囁いた。

「改めまして。……兄様、お誕生日おめでとうございます。これからもよろしくお願いしますね」

まぁ、のこんな笑顔が見れただけでも、幸せな誕生日だったのかもしれない――……。









おまけ


「昨日は誕生日だったそうだな。おめでとう、義兄上

「……何度も言わせるな、イザーク。俺はお前との婚約なんて、絶対に認めないからな!!」

「とっとと妹離れせんか、このシスコンが!!」

「シスコンで何が悪い!!それでお前に迷惑をかけたか!?」


……ちなみに、食堂での会話である。

当然、周囲には人がいるのだが、二人が気にかける様子はない。

「ああ、かけてるさ!!何が悲しくて、俺が貴様なんぞの誕生日プレゼントの相談を愛しい婚約者からされねばならん!?」

「お前の誕生日のときは、俺がその役回りだったんだぞ!?」


何が悲しくて、俺を敵視するやつの誕生日プレゼントを考えなければならない!?とアスランは言う。

まぁ、彼でなくてもそう思うだろう。

「……ひょっとして、にキラの写真をプレセントにするよう言ったのもお前か?」

「未来の弟とディアッカが大気圏突入するってのに呟いた名前が『キラ……』じゃなぁ。アレが一番、貴様が喜ぶプレゼントだと思ったまでだが?」

「いつまで根にもつ気だ!?ていうか、いらんわ!!お前みたいな弟なんて!!」

「俺も貴様のような兄なんていらんな!!の兄だから、兄として遇してやろうとしているまでのことだ!!」

「誰がお前との婚約を認めるもんかぁぁぁっっっ!!」


……何度も言うが、ここは食堂である。

「今日も平和ですねぇ」

次第に白熱していく舌戦を見て、ニコルがそう、呟いた――……。



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だいぶ遅くなってしまいましたが、アスランお誕生日おめでとう☆記念ドリです。

アスランとの恋愛ドリを書こうとしたのですが、書けなかったので。

アスランの妹ドリになりました。

……良いですか?こんなの。

私はすごく楽しんで書けたんですがね。

一人でも多くの方に、気に入っていただけたなら、幸いです。



それでは、ここまで読んでいただき、有難うございました☆