笑顔で






『好きだよ』

翡翠の瞳が、綺麗。

笑顔が、綺麗。

男の人なのに、ハイネは綺麗で。

でも、女っぽいわけでは決してない。

ただ、ハイネは綺麗。

貴方の笑顔は、何よりも綺麗。





白い






別に、この平和が永遠に続くと思っていたわけじゃない。
ただそれでも、この平和が続くように願ってた。
あたしの好きな人は、軍人、だから。

市民軍的な要素が強く、比較的軍律も緩いザフト。
正式名称、


『Zodiac Aliance of Freedom Treaty』


その中でも特に人格的に優れ、任務の成功率の高いいわゆるエリート中のエリートに贈られる称号。
それが、


『FAITH』


あたしの好きな人は。
あたしの恋人は、その称号を持つエリート中のエリート。
それでも、不安なの。
貴方が優秀なことは知ってるし、貴方をどうにかできる人間なんて、限られてることも知ってる。
そうでなくても、たかだかナチュラルに、貴方をどうこうできるとは思えない。

それでも、不安なの。



ねぇ、ハイネ。
貴方は知ってる?
貴方が戦場に行った夜。
その時間が、どれだけ長いか。
それだけ胸が潰れる思いをしながら、貴方の帰りを待つのか。
ねぇ、知ってる?


は、心配しすぎ」


快活に笑って、貴方は言う。
翡翠の瞳は、こんなとき本当に優しい色をしてる。



「何?」
「難しい顔するんじゃないよ、お前は」


困ったように、笑顔。
好きだなぁ、貴方の笑顔。
いつも、あたしを励ましてくれる。
いつも、あたしを元気付けてくれる。


「好きよ、貴方の笑顔」


思ったまま、正直に。
貴方に告げると、一瞬目を点にして。
それから、くしゃっと笑う。


そんな貴方も、好き。


「俺は、お前の笑顔が好き」
「あたしの?」
「そう」


優しく囁いて、あたしの髪をなでる。
でも、次の瞬間には、寂しそうな顔をして。


「お前の笑顔を見ると、戦場を忘れるよ」


そう、囁いた。
哀しい顔。
辛そうな、顔。
それでも貴方は、戦場に行くんだね……。


「好きだよ、
「ハイネ……」
「必ず、戻ってくるから。だから、待ってて。俺に、お前を守らせて」
「ハイネ……?」
「お前が安全に暮らせる『平和』が、命懸けじゃないと買えないと言うなら、俺は命を懸けるよ」


いやよ、ハイネ。
そんなのは、嫌よ。
いくら平和になっても、貴方がいないのは嫌よ。
言うと、貴方は少し寂しそうに笑った。


「俺は、プラントのためになんて、戦えない」


軍人としては、最低だと思うけどな、とハイネは言う。
でも、それでもあたしは、貴方が好きだわ。
軍人としては最低でも、人間としての貴方は好きだわ。


「知らないやつのためになんて、命は懸けられない」
「ハイネ……」
「でも、お前のためなら。のためなら、命を懸けられるよ、俺は」


囁くハイネに、泣きたくなった。
なんだろう。
その瞬間、ハイネが酷く遠い人に見えた。
酷く、その存在が透けて見えた。

……どうして?


「そんなの、いいから。帰ってきてよ。帰ってきてよ、ハイネ」
「当たり前だろ、


いつものハイネに、戻って。
笑って。
冗談ぽく、笑って。
そっとあたしのおでこに口付ける。

このまま、時間が止まってしまえばいいのに。
ずっとずっと、一緒にいたいのに。

不安なのよ、ハイネ。
貴方は笑うかもしれないけれど。
不安なの。
不安で堪らないの。


「バカ、
「もぅ。すぐそんなこと言うんだから」
「だって、バカじゃん。俺がお前を、一人にするはずないだろ?


笑顔で。
笑顔で。
笑顔で、囁くの。
快晴の日の空みたいに、曇りのない笑顔で、囁くから。だから、あたしは頷くの。
頷いて、あたしも笑顔を浮かべるの。
ハイネが、好きだって言ってくれる笑顔を、浮かべて。

ねぇ、あたしちゃんと笑えてる?
暫く会えない貴方が、あたしの笑顔覚えていられるように。
ねぇ、あたし笑えてる?













笑顔を浮かべて、貴方は言ったの。
帰ってくるって、言ったの。
だからあたしも、笑顔で言ったの。
帰ってきてね、って。
あたしのところに帰ってきてね、って。





笑顔で、愛してる。
貴方を、愛してる。















でもね、ハイネ。

あたしもう、笑えないよ……?
貴方はあの日、笑顔ごとあたしの心を、つれてっちゃったんだね……。



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ハイネにしろミゲルにしろ、避けては通れない死にネタ。
あの殉職シーン。
流れるたんびにブチ切れそうになるんですけど、あたし。
まだ流すのかよ!?って。
これ以上あたしの心の傷をぐりぐりしないでください。

イザークまで死んだりしないだろうな!と思いますよ。
もう最近、萌えが少なくて見てないや……。



ここまでお読みいただき、有難うございました。