パラパラパラレル番外
<My fair Lady>


「…ねえ、今週末って何の日か知ってる?」

例によって夕食後、アスランの部屋に遊びに来て我が物顔でベッドに寝そべって本を読んでいるイザークに、機械いじりも一段落着いたアスランが唐突に聞いた。本を読みながら「あ?そりゃ休日だろ。」と言い放ってやると、「や、確かにそうなんだけど、それだけじゃなくてさあ…」とアスランが圧し掛かってくる。本に熱中していたためにいかにもうっとおしそうにそれを振り落とすと、アスランが「……俺の誕生日なのに……」と恨めしそうに小さく呟いたのを聞いて驚いて振り返った。

「はあ?!誕生日ぃ?!!」
「そう。俺16になるんだけど。」
「っ!そういう事はもっと早く言え!!!」

怒鳴るイザークにアスランは「あれ?言ってなかったっけ?」と首を傾げた。それに「聞いてねえよ!」とキレイに裏手で突っ込みをいれると、モロにストレートにはいったツッコミに咳き込むアスランを横目に見ながらバツが悪そうにボソボソと言い訳した。
「…言っとくけど、知らなかったんだからな。プレゼントなんて何にも用意してないぞ。」
「別に特に欲しい物なんかないし、それはかまわないけど…」
でもやって欲しい事はあるかな…と続けるアスランに、なんとなく嫌な予感がしてイザークは視線でその先を促した。
「何でもやってくれる?」
「先に何をさせる気か言え。」
「その前に約束してよ。」
…これは引き下がりそうもない。まあ付き合いはじめて、というか出会ってはじめてのせっかくの誕生日だ。無理難題以外ならたまには言う事聞いてやってもいいか、とイザークは諦めてしぶしぶ「…わかった。」と約束した。するとアスランが満面の笑みを浮かべる。

「じゃあさ、その日一日だけ普通に女の子の格好してよ。休みだし部屋から一歩もでなくていいからさ。当然、誰も部屋に入れないようにもするし。写真も撮りたいな。」
「…俺に女装をさせる気か?」

途端にベラベラと饒舌に要望を語り始めるアスランに胡乱な視線を投げてやると、「や、それ違うから。」と返って来る。女物の服なんか持ってないと言うと、「そこはぬかりなく。ちゃんと用意してあるから。」と笑う。つまり決定事項な訳だ。しかしイザークにはどうにもアスランの服の趣味は理解できなかった。一体何を着せるつもりだ、まさかビラビラとレースのついたドレスじゃあるまいな、とイザークが悶々としていると、アスランが「…ただ一つ問題が…」と呟いた。
「服のサイズは大体アバウトなもんだからわかったんだけどさ。ブラジャーのサイズがわかんなくって。イザーク、ブラなんか持ってないだろ?」
「あるわけないだろう!そんな物!!!」
一体何を言い出すのか。男と性別を偽っている以上、体型を隠すためのベストは持っていても生まれてこのかたブラなんぞ着けた事もない。全く碌な事を考えてないな、とイザークが思っていると、「そういう訳で。」と再びアスランにのしかかられて押し倒される。そのまま服に手をかけられてイザークは慌てて抗議した。
「ちょっ!何する気だ!今日はしないぞ!!!」
「しないしない。ただサイズ測るだけだってば。そのくらいいいだろ?」
抵抗しようにもただでさえ男と女の性差で力では敵わない上に体重をかけられて馬乗りになられたんではたまったもんじゃない。あっという間に上着を剥ぎ取られる。それでもイザークは往生際悪く喚いた。
「こんな明るい所で脱ぐのなんかイヤだ!」
「今更。もうとっくに見慣れてるし、カタチも感触も色も全部知ってるって。」
そんな事を平然と言われてイザークは真っ赤になった。確かにそうかもしれないが、もうちょっと言い様がないものか。それに恥ずかしいものは恥ずかしいのだ。「だっ!大体今更測った所でこれから買いに行く時間もないだろうが!」と最後の抵抗を試みると、アスランはにっこり笑った。

「その辺もぬかりはない。それらしいサイズのヤツはいくつか用意してある。」

…もはや怒りを通り越して呆れるしかない。一体どんな顔して買いに行ったんだか。女性用下着売り場でアンダーとカップを確認してブラジャーを物色しているアスランも想像できないが、まさか店員に手で「こう、このくらいの大きさで…」とか説明したんじゃあるまいな、と胡散臭げな視線を投げるイザークを他所に彼はどんどん手際よく服を剥ぎ取っていってしまう。一度見ただけでアスランは特殊なベストの脱がせ方まで学んでしまった。…ダメだ、こりゃ、と思ってとうとうイザークは諦めた。すっかりイザークの上半身を裸にしてしまうと、何処から取り出したんだか手に布製のメジャーを持って、アスランはウキウキと「ハイ、背筋伸ばしてー。」とイザークを起き上がらせた。何でそんなに楽しそうなんだか、呆れて物も言えないイザークが無言で従うと、「細い割りにやっぱかなりあるよねー。」などと勝手な事をぬかしながら彼女の身体にメジャーを巻きつけて測りだした。素肌にひやりとした感触に少し体が竦む。

「65、の…E?なんか前より大きくなってない?」
「……………。」
「やっぱり俺が揉んでるせいかなあ。ブラつけてないくせに形もいいし。うーん、俺って幸せものv」

勝手にほざいてろ、とばかりに無言で冷淡な視線をよこすイザークを他所に、アスランはうんうんと頷いてようやくイザークの上から退くとクローゼットへ向かった。…もう服を着てもいいんだろうか、とイザークがそろそろと服に手を伸ばすと、振り向きもせずに「あ、まだ着るなよ。」と声をかけてくる。そのままクローゼットを開けて何やら袋を取り出すとガサガサと中をあさって目当ての物を引っ張り出し、イザークの方に投げて寄越した。一体何だ、と思ってイザークがソレを目の前に掲げてみると…白いレースのブラジャー。

「ソレ、試しに着けてみて。たぶんサイズ合うと思うから。」

…そんな事を異常に爽やかな笑顔で言われても…最早呆れ果てて逆らう気すら起きないイザークは半眼でアスランを見た。アスランは『さあさあv』とばかりにニコニコ笑っている。ガムのCMにでも出れそうな爽やかさだ。心なしか背後にキラキラと後光さえ見える気がする。…まるっきり阿呆だ、とイザークは大きなため息を吐き出すともう一度目の前のブラに視線を移した。着けてみろと言われてもこんな物着けた事一度もない。一体どうやればいいんだ?としばらく難しい顔でソレを睨みつけていたが、そういえば昔母親が着けている所を見た事があった気がする。確か前から着けて後ろ手でホックを止めてたな、ととりあえず肩紐を両腕に通してホックを背中の方に回し、そのまま止めようとする。が、なかなかホックがかからない。
(…?何で引っかからないんだよ!確か母上はもっと簡単に着けておられたぞ!?後ろに目でもあるのか?)
だんだんイライラしながらも何とかホックを止め終わってホッとする。けれどカップはガバガバだ。いつも着ているベストほど苦しくはないがワイヤーが肉に食い込んで痛い。

「…何かへんな感じだ。しかもサイズ合ってないぞ。カップが余ってる。」
「…そりゃそうだろうよ。前から着けたのは合格だけど、着け方が間違ってる。」

アスランは呆れたように、はあもうダメダメ、とばかりに額に手を当てて頭を振ると、「ブラってのはー」とか言いながら再びイザークに近付いてきて彼女の足の上に馬乗りになると、苦労してやっと止めたホックを外してしまった。「ハイ、前屈みになってー!」とイザークの腕を引っ張って前傾姿勢にさせると、「こうやってまずカップに胸が収まるように当ててー。」と言いながら彼女の体に当てなおし、そのままいとも簡単にホックを止めてしまうと姿勢を戻させた。
「んで、それから!」
「うわ!ちょっ!」
突然ブラと胸の間に骨ばった手を差し込まれてイザークは驚いた声を上げた。それを意に介さずアスランはグイグイと「こうやって、カップからはみ出た胸を寄せて上げて押し込んでカタチを整えるの!」と言いながら無遠慮にイザークの乳房をカップの中に押し込もうとする。一体何処でこんな事覚えてきたんだか、いやそれよりも何が悲しくて男にブラの着け方なんぞ実演でレクチャーされねばならんのか、しかも年下の男に。イザークが複雑な気分で悶々としている内にアスランはカタチを整え終わってにっこり笑った。

「ね?わかった?ホラ、ピッタリ。」
「あーそーかそーかそりゃよかったな。」

なんだかどこにどう突っ込んでいいかわからずやけに疲れてしまって怒鳴る気力もないイザークは髪をかき上げながら棒読みで投げやりに答えた。アスランはそんな彼女を顎に手を当てうーん、となにやら感慨深げに見つめている。
「うんうん、やっぱ似合うね。当日は下もソレのペアショーツ着けてよね。」
「そーかそーか。」
こんなのに似合うもクソもあるか、ていうか下まで買ったのか、とイザークは相変わらず投げやりな調子で答える。それを他所にアスランは尚も好き勝手な事をほざき続ける。
「…なんかごくごくノーマルなのに、すっごい萌えかも。」
「……おい、貴様。何考えてる?」
さすがに言葉の端に不穏な物を感じてイザークが聞きとがめた。そういえばさっきから密着した下腹に何か硬いモノが当たっているような…今日はしないぞと睨みつけると、アスランは察したように「うん、わかってる。しないしない。今生理中だよね?」と言いながらすごすごとイザークの上から降りるとそのまま距離をとってくるりと後ろを向いた。もういいんだろうか、とイザークはブラを外して今度こそ服を身に着けようとした。そういえばアスランと寝るようになってからというもの不思議と生理痛が軽くなっていた。ホルモンバランスでも取れてきたのか、それでも痛み止めは手放せないが。などとイザークが考えながら服を着ている間にもアスランが後ろを向いたまま「本当は襲いたいトコなんだけど、シーツが血みどろになるのはさすがになあ…」などと情けなくぼやいている。服を着終わってイザークは呆れたような視線をその背中に送って「オイ。」と声をかけた。しかしアスランは振り返ろうとしないまま、
「…ごめん、俺ヤバイかも…今日はもう帰ってくれる?」
とだけ言った。人で散々遊んでおいてコレか、とイザークは怒るより呆れるしかない。目線を泳がせて「ああ。じゃあお大事に(?)」とかなんとか訳の解らない事を適当に言って出て行こうとすると、後ろからアスランが釘をさした。

「…約束、忘れるなよ。」

イザークはタメ息を吐いて「わかってる。」とだけ答えて今度こそ部屋を出た。








そして、アスランの誕生日当日―――。

約束どおり朝から部屋に訪れたイザークに、アスランが「ハイ、プレゼント。」と綺麗にラッピングされた包みを手渡した。プレゼントって…お前の誕生日だろうが、と何か違うような気がしたが黙って受け取った。一体どんな奇天烈な服が入っているのやら、とイザークが不審そうにじっと包みに視線を落としていると、アスランが「約束、覚えてるよな?」と笑顔で言う。タメ息を一つ零して「バス・ルーム貸せ。」と諦めた。
包みから出してみると、アスランが用意した服は意外にも普通だった。シンプルな黒い少し膝上の丈に七分袖のワンピース。襟首は前後ろ両方ともVネックになっていてそこに細い紐がクロスしてそこだけがアクセントになっている。上半身は心持ち体にフィットするように細身になっていたが、サイズはちょうどいいようだ。宣言通り、ご丁寧に下着まで用意されているのにはやはり呆れるが、約束は約束だ、仕方がない。しかしそれにしても…イザークは手早く着替えるとバス・ルームを出るなりアスランを怒鳴りつけた。

「おい!貴様!これ随分高価かったんじゃないか?!」

そう、用意された服はシンプルだが生地も縫製も上等のものと一目でわかるものだった。スカートなんか穿き慣れてないせいで足がスースーするのは頂けないが着心地もかなりいい。しかも下着や服だけでなくアクセサリーまで入っていたのだ。やはりこれまた高級品と思われるプラチナの細いチェーンに控えめなぺリドットのトップが付いたシンプルなネックレスに小さな4mm玉のピアス。ピアスの方は確かに小さいが、たぶんこれはアレだ、アレキサンドライトだ。初めエメラルドかとも思ったが、まさかと思って洗面台の白熱灯にかざしたら暗赤色に変化した。せめてアレキサンドライト・タイプのガーネットであってくれ、とも思ったが、どうも色の変化の度合いから考えてまぎれもない本物でかなり希少性の高い高価な物の筈だ。
アスランはいきなり怒鳴り込んできたイザークを驚いたように振り返ったが、次の瞬間には眼を見開いてポカンと口を開けて言葉を失ってしまった。細身でシンプルな黒のワンピースはスレンダーで色が白いイザークに誂えたようによく似合っていた。あんまり綺麗で言葉が出てこない。イザークが苛立った様に「オイ!」と怒声を上げると、はっとした様に瞳を瞬かせて顔を輝かせた。

「うわあ…イザーク、すごいキレイ!よく似合ってるよ。」
「質問に答えろ!こいつら一体いくらしたんだ?!」
「え…さあ。よく覚えてないけど…別にいいじゃない、そのくらい。ジュール家のお嬢様がそんなみみっちい事気にするなよ。」
「気になるわ!!!一体何を考えてるんだ!」
「え…そりゃイザークに似合うかなと思って…」
イザークは頭を抱えた。話しが通じない。アスランは見惚れた様にしげしげと自分を見つめている。何と言ったらいいのか、イザークは質問を変えた。
「…おい、コレは今日一日だけのものだよな?まさかくれるとは言わないよな?」
「え?当然あげるよ。そのために買ったんだから。」
その言葉にますますイザークは頭を抱えてしまった。どうして誕生日を迎えた当人からプレゼントされねばならんのか。しかもこんな高価なもの。そりゃ女装してやるとは言ったけど。
「阿呆か!貴様は!!!大体コレはなんだ?!」
とズイッとアスランの前に手を差し出す。その上に乗っているのは例のピアス。
「見ての通り…ピアスだけど…。あ、アレキサンドライト?」
…やっぱりか…とイザークは片手で額を押さえて目を閉じた。本当に何を考えているんだ、この男。何だかもう怒鳴る気力も沸いてこない。そんなイザークを他所にアスランはつらつらと説明を始めた。

「本当はピアスもネックレスもサファイアかアクアマリンにしようかとも思ったんだけどさ。ほら、イザークの誕生石ってぺリドットじゃない?緑色だし色合いは違うけど、俺の目の色かなーって思って。アレキサンドライトも昼間は緑でこっちは俺の目と色合いもホントに同じだし、なんか色が変わるのがイザークっぽいと思って。」
「…ちなみにどの辺が?」
「見た目と中身が違う所と表情が思ってる事ですぐ変わる所と気分屋な所と昼間と夜ベッドの上での顔が全く違うトコ。」
真顔でスラスラと一息に即答されてとりあえず殴っといた。そのまま「…で?」と先を促す。
「いや、『で?』って…何?」
「だから、コレを俺にどうしろと言うんだ。貴様の誕生日だぞ!?なんで俺がこんな高価な物もらわねばならんのだ!」
「うーん、俺の自己満足?ほら、なんか俺だけのお姫様ってかんじじゃない。」
「…さっぱり意味がわからん。」
「や、だからイザークのそんな格好知ってるの俺だけかー、と思うともったいない気もするけど気分いいし。それに服は今日一日だけだけど、ピアスやネックレスは普段も着けれるだろ?ネックレスは女物かもしれないけど服の下に着けてればいいしさ。だから青じゃなくて緑の石にしたんだ。その…できればいつも着けてて欲しいなーって…ええと、俺の目の色だし……だから…ちょっとした…独占欲?面と向かっては周りに言えないけど、こう…密かに『俺のだぞー』みたいな…?」

アスランは下を向いて最後の方ボソボソと尻すぼみになりながらバツが悪そうに説明する。イザークはナルホド、そういう事かと薄々アスランの意図する所を察すると同時にはっきり言って呆れた。やっぱり阿呆だ、コイツ。そしてガキだ。まあ多分自分を女装(?)させる事もメインはメインなんだろうが、それを口実にこっちも目的の内に入ってたんだろう。イザークはタメ息を吐いて一つ首を振った。
「…残念だが俺はピアスなんか開けてない。」
「えーと…開ける気、全くなし?」
アスランは残念そうに心持ち首を傾げて上目遣いで見上げてくる。だからそんないかにも捨てられた犬の様な目で見るなよ!とイザークは心の中で罵った。コイツ、自分がその目に弱い事を知ってて確信犯じゃあるまいな。大体こんな高価な物を先に渡されてはそう簡単に無碍にもできないではないか。イザークは腕を組んでしばらく難しい顔で考え込んだ。アスランがさも落胆したように「やっぱダメかなあ…」とぼやく。だからそんな顔をするなと言うんだ!イザークは小さく舌打ちしてがっくりと項垂れた。ダメだ、こっちの負けだ…そう思ってガシガシと乱暴に銀糸を掻き回す。

「〜〜〜〜〜まあ、『何でもする』って約束だったしな…誕生日な訳だし…」
「え?それって……」
「……特別サービスだ。開けてやらん事もない。」
「いいの!?」

アスランがぱあっと顔を輝かせた。イザークはそれにちらりと目をやって、「ただし、後で貴様が開けろ。」とピアスを突きつけた。アスランはうれしそうにコクコクと頷いてその手を取ると、「仰せのままに、姫君。」と言ってその甲に口付ける。それにイザークは嫌そうに顔を顰めて、わざとらしく「ヒメトヨブノハヤメテクダサイマセンコトオウジサマ。」と棒読みで言った。アスランはクスクスと笑いながらイザークを抱き寄せて今度はその髪に口付ける。

「でも本当にお姫様みたいに綺麗だ。なんなら化粧もしてみる?」
「誰がするか。」
「まあ確かに必要ないか。あ!写真!ピアス開ける前に一緒に写真撮ろう!」
「……お好きに。」

ウキウキと楽しそうにカメラを準備しようとするアスランを引き止めてイザークが声をかけた。
「…楽しいか?」
「え?うん。楽しいよ。」
そうか、と何やら自分をじっと見つめて難しい顔で黙り込んでしまったイザークにアスランが「何?」と尋ねた。何だか怒っている様にも見える。…ちょっと調子に乗りすぎて機嫌を損ねたかな?とアスランが心配になった所で、イザークが指でチョイチョイと彼を呼び寄せる仕草をした。まさかまた殴られるんだろうか、と恐々近付くと、「もっと寄れ。」と言われる。間近で向かい合ったところでイザークが口を開いた。

「……っまあ、その、なんだ……」
「ん?」

イザークは一つ大きく深呼吸してキッとアスランを睨みつけると、

「…たっ、誕生日おめでとう!」

そう叫んでアスランの方に顔を寄せると唇をぶつけてきた。すぐにパッと離れると、真っ赤な顔で「大サービスだ!」と喚いてくるりと後ろを向いてしまった。はっきり言って頭突きかと思うほどの勢いだったので、歯が当たった所か鼻と顎も痛かったが、イザークからの初めてのキスにアスランはしばらく呆然としてしまった。けれどやがて柔らかく微笑むと、背中を向けたままの彼女の体に腕を廻し、赤いままの耳元で静かに「ありがとう。」と囁いた。


この世に生まれた事、君に会えた事、全てに感謝を。


END
+++++++++++++++++++++++++

MORGENのいざよい様からいただきました。
素敵アスイザ小説vv
こんな素敵な小説がフリーなんて。
思わず持って帰ってきてしまいました。

いざよい様、掲載許可、どうも有難うございます。