『また、男名の偽名を考えたものだ』


呆れたように呟く『彼』に。最愛の『彼』に、アスランは困ったように笑う。

仕方のないこと。

それは、仕方のないこと。


『ならば――……』


呆れたように笑った『彼』が、紡いだ言葉。

それが全ての、引金。










第T章-03-








 通された部屋は、酷く薄暗かった。
 けれど別に、違和感を覚えるものではない。父がこの執務室の住人だったときも、今と同じくその部屋は酷く薄暗かった。だからそれが、この部屋のデフォルトなのだろう、と思う。
 そうしてアスランは、かつて父が支配者であったその執務室において、現在その部屋の支配者となった男に、向き直った。


「初めまして、ギルバート=デュランダル議長閣下。こうして直接お目にかかるのは、初めてですね。パトリック=ザラ前最高評議会議長の娘、アスラン=ザラです」
「やぁ、アスラン。初めまして、だね。こうして君に会えて、嬉しく思うよ」
「それは私も同じです、議長閣下。よもや、シャトルを仕立てていただけるとは、思ってもみなかった。議長は余程……余程私の持っている情報を、評価してくださっているらしい」


 くすくすと、含むように『アスラン』は笑った。
 その微笑みは、相変わらず華のように麗しく。
 けれど、どこか毒が滴り落ちるようなそんな種類の、微笑。

 けれど間近で彼女と相対する男は、それに特別な感慨を抱くでもなく、彼女を見つめている。
 どこか、この部屋を包む闇のようとも言える、その微笑。けれど、闇に捕まる人間など別に、珍しいことでも何でもない。
 ただ、アスラン=ザラが闇に捕まったと言うのは、酷く意外だったけれど。

 アスラン=ザラと言う少女は、酷く自虐的な少女だと、思っていた。
 父親の命もあり、男として軍に属している、と言うのもあったのだろう。
 どことなく醒めた目をした、人形のような少女。
 美しい人形は確かに、多くの者たちの目を楽しませることだろう。しかし美しいだけの人形に、食指が動くものではない。美しいだけの人形のようだったアスラン=ザラ。
 今なら、分かる。
 君は、諦めていたのだね、アスラン。
 デュランダルはそう、思った。
 彼女は、諦めていたのだ。全てを、諦めていた。

 恋してやまぬ少年を、大人の思惑で失い。
 政治的な理由で引き離され。
 彼女は、諦めていた。
 全てを諦めて、そして母親を喪い。
 男として、軍人になった。

 自虐的な少女だと、思った。
 高い能力があるのに、彼女はそれを活かしきれない。
 シュミレーションの成績は文句なし。けれど実戦では躊躇が多く。
 かといって、仲間にだけ罪を犯させることなど許容できず。
 深みに嵌る哀れな少女。

 感じたのは、哀れみだったのだろうか。
 大人の都合で振り回され、愛しい少年――もう青年か――とさえも、しまいには引き離され。
 『彼』の対の遺伝子は、アスランだったと言うのに。


「そうだね、アスラン。私は君がもってきてくれたという情報を、高く評価しているよ」
「わたしが何を持ってきているのか、それさえもご存知でないのに?」
「それはそうだが……まぁ、掛けたまえ」
「失礼いたします」


 ソファに腰掛けるよう促すと、優雅な仕草で一礼して、腰掛けた。
 淑女に相応しい嗜みと、けれど軍人であったせいかしなやかな身のこなしとがあいまった所作が酷く、好ましい。
 さすが、あのパトリック=ザラの娘だ、と。嫌味でも何でもなく、むしろ感嘆しながら思う。
 さすがに、ザラ家の教育の水準は、高かったらしい。
 娘だからと、必要以上に甘やかして育てたのではなく――否、娘だからこそ、と言うべきか。施せるだけの教育は全て、施したのだろう。
 パトリック=ザラの唯一の誤算は、彼の基盤を受け継ぐべき後継が、女児であったことだっただろうか。けれどそれも、彼女の対の遺伝子たる『彼』がいれば……『彼』を手中に出来れば、何の問題も生じなかったに違いない。
 だからこそ余計に、デュランダルは彼女も『彼』も、哀れに思う。

 『娘』と名乗りはしたが、彼女は今日も男装を崩さず。
 ザフトの……プラントのアスラン=ザラとしてではなく、オーブのアレックス=ディノとして、此処に訪れた。
 政治的な事情に、配慮してのことだろう。


「アスラン=ザラとして、君は私に通信をしたね、アスラン」
「えぇ」
「君はオーブで、アレックス=ディノとして幸せに暮らしているものだと、思っていたよ」


 ザフトのことも、プラントのことも忘れ果て。
 その安逸に身を沈めているだろうと、思っていたよ、と。
 笑みを刷いた口元をゆがめて言えば、『アスラン』は笑った。
 くすくすと。含み笑いをするたびに滴り落ちる、毒。
 彼女は、こんな笑い方をする少女だっただろうか、と。デュランダルは思う。少なくとも友人から聞いていた彼女は、こんな少女ではなかった筈なのに。

 それでも、目の前で。
 目の前で『アスラン』は、笑うのだ。


「プラント市民としての責務を、そしてザラの人間としての義務を、放棄しようと思ったことは、一度たりともありません」
「そうかね」
「えぇ。プラントの市民権は、剥奪されてしまったけれど。それでも私は、私の故郷は、プラントなのです。父が独立を勝ち取るために命を捧げたこの星が、私の故郷であり、守るべき祖国なのです。それを忘れたことは、一度たりともありません」
「ならば……」
「ならばどうして、逃げたのか。そういわれても、仕方のないことを、私はしてしまった。赦されるなら、贖罪がしたい。そして……」
「プラントに、戻りたいかね?」


 デュランダルの言葉に、『アスラン』は躊躇うことなく頷いた。
 翡翠の瞳に、狂おしいまでの切望が、溢れる。
 プラントに。
 声なき声を確かに聞いたと、デュランダルは思った。

 プラントに。プラントに。
 帰れるものならば、プラントに。

 翡翠の瞳が、言葉でなされるよりももっとずっと強く、もっとずっと切実に、その願望を描く。


「私の……故郷です」


 そして紡がれた言葉は、ただ一言。
 吐息じみた言葉は、けれどどれだけの思いを載せて口にされたのだろうか。
 その思いの深さ。それは、彼には想像することしか、できないけれど。


「どちらの君として、戻りたい?」
「それは……アスラン=ザラとしてか、それともアレックス=ディノとしてか。そう言うことですか?」
「そうだね。そう言うことになるだろうか」
「議長。お分かりでしょう?」


 不機嫌そうに、『アスラン』は言う。
 どちらを選ぶか。どちらの自分を選ぶのか。
 それは、決まりきったこと。だからこそ『アスラン』は、アスラン=ザラの名前を使って、議長と通信をした。
 プラントでの自身の名の持つ影響力を思えばこそ、シャトル等への記録には、アレックス=ディノの名を残してあるけれど。
 この場に立つのは『アスラン=ザラ』であって、『アレックス=ディノ』などではない、断じて。

 プラントを。
 プラントを。
 プラントを。
 敬愛してやまぬ父が、愛してやまぬ父が、その独立を勝ち取るために命さえ投げ出し、最愛の妻亡き後は復讐の狂気に取り付かれてそれでも守りたい、と。プラントの自治だけは守りたい、と。願ったプラントをどうして、この故郷をどうして、捨てることなどできよう。
 この国の平和のために命さえ投げ出した年若い友人、頼りになった先輩、気のあった同僚。
 どうしてその願いを擲つことなどできよう。
 何より、『彼』が。
 『彼』が愛してやまぬ国を。この国のため、『彼』とともに戦えることは、『アスラン』否、アレックスの誇りだったのに。


「私は、議長。私は、信じているのです。父は、間違ったことはしていない、と。信じているのです」
「アスラン?」
「議長、貴方がクライン派であることは、分かっております。理解しております。このようなこと、言うべきではないかもしれないけれど、それでも私は、信じているのです。父は、間違っていない、と。父は、間違えたかもしれないけれど。父の気持ちは、間違いなどではなかった、と」


 同じようだけれど、この差は大きい、と。『アスラン』は思う。
 父は、間違ったことをしたのかもしれない。
 父のしたことは、間違いであったのかもしれない。
 でも、父の思いは間違いなどではなかった、と。『アスラン』は思うのだ。
 ……アスランは、『出来損ないのアスラン』はきっと、父の行いは過ちだったと傷ついているだろうけど。

 分からないのか?アスラン。本当にお前は、分からないのか?
 父の期待を一身に受け、父に愛されていたお前が、分からないのか?と。アレックスはアスランに問わずにはいられない。
 どうして、分からないのだろう。どうして、父の気持ちが分からないのだろう。
 罪悪感か。父が、地上に住むナチュラルを全て殺そうとした、その罪悪感なのか。でも、そもそも先にコーディネイターを殺そうとしたのは、ナチュラルなのに。なのにどうして、コーディネイターと敵対し、オーブなどという国に行くことを選んだのか。アレックスにはどうしても、アスランの気持ちは分からなかった。

 何がお前を、そこまで駆り立てた?
 彼の手を拒絶するほど、一体何が。

 そう、考えて。けれどアレックスは首を振る。
 考えるだけ、無駄だとしか、思えない。


「では、君が持ってきたという情報を、聞かせてもらおうかな、アスラン」
「えぇ」


 デュランダルの言葉に、アスランはにっこりと笑った。
 翡翠の瞳が艶やかに煌き、少女らしく華やぐ。
 その笑顔のまま。
 『世界』が再び混迷に陥る、その鍵ともなるべき事実を。アスラン――アレックス――は、口にした。


「オーブは、“アークエンジェル”と“フリーダム”を改修しておりました」
「え?」
「ユニウス条約……オーブ代表首長の知己を戴いていた私は、地球連合とプラントの間で結ばれたユニウス条約についても、その詳細を伺っております。確か、核兵器搭載型モビルスーツの破棄も、含まれていた筈。そして、プラントが開発した核兵器搭載型モビルスーツのうち、“ジャスティス”と“プロヴィデンス”は、あの戦闘の最中永久に喪われました。――“ジャスティス”は、私が“ジェネシス”内部で自爆させ、“プロヴィデンス”は……撃破された」
「あぁ、そうだね」


 柔和な表情を崩さず、男はそう言った。
 彼の友人が搭乗していた機体だった。アスランは、二人の関係を知らないけれど、あの機体は。
 あの機体……ZGMF X-13A”プロヴィデンス”。あの機体に搭乗していたのは、ギルバート=デュランダルの友人、ラウ=ル=クルーゼだった。
 そしてその友人を撃ったのが、アスランの友人であり、“フリーダム”のパイロットであった、キラ=ヤマト。『最高のコーディネイター』の呼び名も高い、大戦の英雄。

 運命の輪は、まるでメビウスの輪の如く複雑に絡まりあい、余人の窺い知れるものではなく。その事実さえも、複雑な運命を遺憾なく表しているように思われる。
 あぁ、残酷というならば、少女を見舞った『運命』も十分、残酷だけれど。


「議長、父のしたことは、間違いでしょうか?」


 嫣然と微笑み、敢えて『アスラン』はそう言う。クライン派である議長に対し、彼女は言うのだ。
 ラクス=クラインが犯したこと。彼女が知らず犯した罪を提示した上で、彼女は尋ねる。
 父であり、ラクス=クラインと対立した、パトリック=ザラ。彼のしたことは間違いで、ラクス=クラインのしたことは、正しかったのか、と。
 行為の有無は……彼らがしたことは、所詮同じではないか、と。所詮両者とも、力に頼り、力を振るったに過ぎないではないか、と。それなのに何故、パトリックは戦後最大の戦犯と言われ、ラクス=クラインは世界を救った『聖女』なのか。


「君は、前議長閣下のことを、信じているんだね、アスラン」
「私の、父ですよ?」


 デュランダルの言葉に、アスランは逆に尋ね返す。
 娘である私が、父を敬愛し信じるのは、当然ではないですか、と。
 彼女は、言葉にはせずともそう、告げた。

 やはり、友人から聞いていたアスラン=ザラとは相容れない、と。
 その言葉に余計に、違和感を覚える。
 友人であるクルーゼから聞いた印象でのアスラン=ザラは、おそらく父親の罪を悔いていると思ったから。
 友人から聞いていた彼女ならば、父親のことに対して罪悪感を抱いていることだと思っていた。彼女の父親であるパトリックの行動の、その善悪の是非は置いて。
 感じた違和感は、それゆえに強烈で。しかし、強い興味を覚えたのもまた、同じだった。
 だから、デュランダルは応える。
 彼女が望んでいるであろう答えを。そして、彼自身も胸の内に密かに思う答えを。

 確かに、彼はクライン派に属する穏健派出身の議員ではあるけれど。
 けれど戦場でラクス=クラインがしたことといえば、彼女があれほど厳しく弾劾したパトリック=ザラのしたことと大した違いはなく。――否、強大な力を私兵の如く使った点では、遥かにタチが悪い、と。そう思わずにはいられないから。
 あの時、ラクス=クラインがしたことは、戦局を悪戯に混乱させただけに留まらない。彼女が“フリーダム”というザフトの機密を敵に譲渡したことで、クライン派全体もまた、危地に立たされた。
 オペレーション・スピットブレイクの失敗を理由に、パトリックの退陣を求めることだって、あの状況では可能であったのに。彼女のしでかした不始末によって、流血は更に増えたのだ。
 彼女の行為は、パトリック=ザラに、クライン派の裏切りによる情報漏洩を真実として認識させ。クライン派を粛清の嵐が襲った。それだけではなく、パトリックの退陣によるプラントの路線変更の道さえも、絶たれてしまったのだ。
 その罪は、あまりにも重い。
 大抵のプラントの住人は、臨時最高評議会議長となったアイリーン=カナーバによる情報操作で、その事実を知らないけれど。
 否、知らせるわけには、いかない。
 プラントの住人は、ラクス=クラインに幻想を抱いているのだから。その幻想を崩すのは、忍びない。
 よもや、戦場を蹂躙した歌姫が、祖国を棄てて男と隠棲・同棲しているなどと。
 そんなことを、明かすわけにはいかないのだ。
 歌姫の幻想。プラントはまだ、その幻想の中生きているのだから。


「私は、君の父上の思いは決して、間違ってはいなかった、と。そう考えるよ」
「そうですか」


 デュランダルの言葉に、『アスラン』はほっとしたように笑った。
 その笑顔には、何の翳りも見受けられない。
 滴り落ちる毒も、感じられない。


「君の持っている情報は、“フリーダム”と“アークエンジェル”のこと、と言うことかね?」
「そうですね。勿論、その二つの改修に、オーブのアスハが関わっているという証拠も、私が押さえています。……この情報、いかに使うか。それは、議長にお任せしましょう。
 ……私が持ってきた情報は、無用のものですか?」
「否……実に、有難いよ、アスラン」


 アスランの言葉に、デュランダルは頷いた。
 政治的な駆け引きを思えば、用意に胸の内を明かすべきではないのかもしれない。
 しかし彼女は、率直に情報を提示した。そして、彼女の意志はやはり、プラントとともにある。ならば、駆け引きによって相手の信頼を損なうことは、デメリットでしかないだろう。
 欲しているのだ、彼女の力を。


「君の情報に、私はどのような対価を支払おうか」
「さぁ……?」


 くすくすと、アスランは笑った。
 相手がどのような対価を支払うのか。それさえも楽しんでいるような雰囲気だ。
 確かに、彼女は彼女手持ちの情報を明したけれど。肝心の証拠はまだ、現物として提示していない。デュランダルが支払う、彼女の情報への対価如何で、彼女の対応はまた変わるのだろう。

 分は、彼女の方にある。


「困ったな、どうも私の方が分が悪い」
「ふふふ……。そのようなご冗談を。私程度、議長ならば赤子の手を捻るようなものでしょう?」
「男は、決して美姫には勝てないものと相場が決まっているのだよ、アスラン」
「お口が上手いですね、議長は」


 デュランダルが紡ぐ賛辞を心地よさ気に受けながら、『アスラン』が笑う。
 微笑む『アスラン』に、デュランダルは頷いた。


「では君の、プラント市民権を回復しよう」
「有難うございます」
「その上で、君にザフトへの復隊を求めたなら、君はどうするかね?」
「その意向に沿わせていただきますが……対価は、当然戴きますよ?」
「勿論だよ、アスラン。対価は……特務隊FAITHへの叙任と、新型MSそして……」
「そして?……それだけ支払っていただいてもよろしいのでしょうか?」
「勿論、それは君が本来持っていた筈のものだからね」


 デュランダルの言葉に、『アスラン』は小首を傾げる。
 彼女が所有しているものなんて、あまりない。
 プラントにあった資産の殆どは凍結されているし……他に、彼女が本来所有していたものだ、あっただろうか。
 自分自身――もともとはその躯の本来の持ち主である『アスラン』――のことではあるが、見当がつかなかった。


「君の、『対の遺伝子』」
「え……?」
「『彼』を」


 含み笑いを洩らすデュランダルに、アスランは戸惑いを滲ませた声を出す。
 けれどデュランダルは、それ以上答えず。
 しかしそのとき、扉に備え付けられたインターコムが、なった。


<失礼いたします、議長。お呼びと伺い、参上致しました>
「あぁ、有難う。……入りたまえ」
<はっ!失礼いたします>


 自動ドアが、静かにスライドする。
 その扉の向こうに『彼』を。最愛の人の面影を見出して、『アスラン』の……アレックスの表情《かお》が、見る間に輝きだす。

 スライドする扉の向こうに、『彼』がいた。
 硬質な美貌を引き立てる、銀糸が。
 灼熱に輝く、蒼氷が。
 確かに、触れられる場所に、あって。

 そして同じだけ、『彼』も驚き……そして、その表情を喜色に輝かせた。
 そこに、『アスラン』がいるとは、思ってもみなかったのだろう。

 耳障りのいいハイヴァリトンの声が、『彼女』の名前を……その愛称を、紡いだ。


アス……アレク」





 それは全ての引き金となった、言葉――。







 『白い闇』、第3話をお届け致します。
 『アレク』は、ジュールだけが呼ぶアレックスの愛称です。
 否、アレックスも愛称なんですけど。
 今のところ、便宜上彼女はアレックスなので。

 無印でのラクスの行動は、私はやっぱり早計というか。無謀だなぁ、と思います。
 結局、パトリックさんの行動というか……クラインが裏切ったというパトリックさんの論理を飛躍させた、一番の原因だったのではないか、と。
 勿論、結果論に過ぎないことは分かっていますけど。政治家であれば……ラクスは政治家ではなかったけれど、影響力を持つ人間であったならば、もっと、慎重な行動を取るべきじゃないですかね。
 結局彼女の行動がクライン派までも危地に誘い込んだわけですし。何だってクライン派は、あんなにも『ラクス様』なんて、盲信できるんだろう。
 貴方たちを苦難に追い込んだのは、貴方たちが信奉するその小娘ですよーって。言いたくて堪らないです、私。
 議長は、クライン派と言うか穏健派でではあるけれど、運命後半の行動のあたりから見えるように、ラクスを盲信しているわけではなさそうなので、その辺はシビアに見ているんじゃないかな、と。
 それにしても、後半で漸くジュールが登場しました。
 今後は、イザアスシーンもっと書ければいいなvv否、暫らくはイザアレと言うべきなのか……。

 此処までお読みいただき、有難うございました。