――――ヴェサリウスに帰投命令?――――

――――ああ。貴様とアスランはそのまま、本国に戻るそうだ――――

――――なんで?――――

――――=は元々クルーゼ隊のメンバーではなく、新型起動兵器奪取のために他の隊から借り受けた存在だから。だそうだ――――

――――……転属願い、出したら受け入れてもらえるかな?――――

――――出す気なのか?――――

――――アイツは、ミゲル兄さんの仇よ。必ず、この手で。それまでは、おちおち他の隊でMAごときを撃破している余裕なんてないわ――――

思いつめたその、表情。

その重荷を、肩代わりしたかったんだ。

――――だから俺は、ストライクの撃破を、望んだのかもしれない――……。



鋼のヴァルキュリア #07夜想曲〜中〜




全周囲光波防御帯が収容された。

それを確認し、ガモフからブリッツが発進する。

しかしその機体が、突如として消えた。

肉眼でもレーダーでも捉えられない完璧なステルス性能。『ミラージュコロイド』を展開したのだ。

それを展開すれば、その間フェイズシフトは使えない。しかし、こういった局面においては、非常に有効な機能であるといえよう。

「ミラージュコロイド、生成良好。散布現損率35%……。使えるのは、80分が限界か……」

その間に、リフレクターを落とさねばならない。

ニコルに課せられた責任は、大きい。

音もなくアルテミスに近づき、ニコルはビームライフルを発射した。

全く攻撃を予想していなかったアルテミスは、突然の攻撃に騒然となる。

そして、まんまと指令を出してしまったのだ。

『傘を開け!!』と……。

光波防御帯を収容していたリフレクターが、作動を開始する。

それはニコルに、彼の目指すものを教えているも同然だった。

「あれか!」

ニコルはビームサーベルを抜き、次々とリフレクターを落としていく。

しかし、かの機体は、その姿を現さない。『足つき』も同じだ。

「あいつは港か!?」

ニコルは進路を、港へと変えた。



*                     *



ニコルは、港の内部に侵入した。

そのまま、ビームサーベルでMAを撃破していく。

そして、発見した。

赤・青・白のトリコロールの色彩を持つ機体を。

「いた!」

向こうもニコルの存在に気付いたのか、そのまま向かってくる。

「あいつ!今日こそ!!」

ニコルはピアサーロック“グレイプニール"を放った。

しかしそれはかわされ、敵はビームサーベルを構える。

強い。しかし、やられるわけには、いかない。

ニコルは、覚悟を決めた――……。




そのころ、バスター、デュエルもガモフを発進し、アルテミス内部へ侵入していた。

「あいつは!?」

低い、憎悪をむき出しにした、声。

イザークの激情を抑えるかのように、ディアッカは軽口じみた言葉を紡ぐ。

「あの要塞ごと沈めてやるさ!」





ニコルは”ランサーダートを放ったが、それもまたかわされた。

そして生じた隙に乗じて、敵がビームライフルで切りかかってくる。

「くうううぅぅ!」

辛うじてニコルは、その攻撃をかわした。




デュエル、バスターはまだ、入り口付近にいた。

大量のMAが群がってきたためだ。

バスターのガンランチャーが火を噴いて、また一機MAを沈める。その一機は、司令部へと激突した。

「あの船は?」

「分からん。……ニコル!どこだ!?」

イザークが呼びかけるが、ニコルからの返答はない。

混戦状態。

こんな状況では、連絡の密などとりようもない。

イザークは舌打ちし、地道に探すことにした。

絶対に許すわけにはいかないのだ。

それだけのことを、相手はしたのだから。

ミゲルを殺し、を傷つけたのだから。

許すわけには、いかない――……。




ニコルと相対していた機体が、突如としてその進路を変えた。炎の中を突っ切るようにして、艦の方へと戻っていく。

その行動に考えをいたらせて、ニコルは思わず叫んだ。

「逃げるのか!?」

それは、屈辱でしかない。

ニコルは慌ててその後を追うが、炎に行く手を阻まれてしまった。

高盾システム“トリケロス”で何とか炎を防ぐ。

その時、イザーク、ディアッカも合流してきた。

三人は機体の後を追ったが、敵はもう、離脱したあとだった――……。

「ええい!」

ニコルは思わず、歯噛みした。

敵を、討ち果たせなかった。

ミゲルのそしての仇だと言うのに……!!

自分の無力さが情けなく、悔しい。

しかしこれだけ離されてしまっては、最早追うこともできない。

仕方なく、彼らは撤退した。






こうして、難攻不落の要塞と謳われた『アルテミス』は、壊滅したのだった――……。






<<<* Next * Back * Top *>>>





+−+−+−+−+−+−+−+−+−+−+−+−+−+−+−+−+−+−+−+−+−+−



名前変換少ない……。

そして、甘くない。

こんなん夢と言えるのだろうか。

思わず自問自答してしまいます。

なんか微妙にニコル視点だかイザーク視点だか分かんないし。

やっぱり戦闘シーンは苦手です。

でも、ここから先って、戦闘シーンだらけな気が……。

ううっ。精進します。




ここまで読んでくださって、有難うございました。