内緒話をするように紡いだ、『お願い』。 それが、悲劇を生むことを知っていたなら、私はそんなこと、言わなかった。 でも、現実は違う。 私は、言ってしまった。 そしてそれが、兄を死地に追いやってしまった。 罪深いのは、誰? 罪深いのは、私。 兄を殺してしまった、私なの……。 #30 遁走曲 〜中〜 「コーヒー、淹れる」 「いや……気を遣わなくても良いが?」 「ごめん。ちょっと、頭の中を整理する時間がほしいの。言うべき言葉を整理する、時間を頂戴?」 少女の部屋に通された彼は、そう言われた。 私物など持ち込んでいない彼女の部屋は、年頃の少女の部屋の割りに殺風景で。 だから、なのか。 身体の関係が一度でも出来れば、気持ちは冷めると思っていた。 『女』は、駄目なのだ。 いや、一度『女』と認識したら、駄目なのだ。 『母』は良い。『少女』は良い。『妹』も良い。 けれど、『女』だけは駄目だった。 彼女たちの温もりは確かで、その温もりは心地よくとも。 時々、ベッドから蹴り落としてその頭蓋を蹴り砕きたくなる。 与えられる温もりは心地よくて、その温もりに溺れそうで。だからこそ、苛立ちが増す。 俺にとって『女』は、そんな存在だった。 否、そんな存在だった筈だった。 だけ、そんな感情を抱かなかった。 護ってやりたいと思った。 傍にいて欲しいと願った。 その笑顔を、渇望した。 「自分の感情が、一番侭ならんな……」 簡易キッチンのほうに行った少女に聞こえない声で、呟く。 自分の気持ちが、一番分からないと感じる。 俺があれほど抱いていた嫌悪は、一体何だったと言うのか。 「『あんた』は一体、何を言わんとしていたんだ……?」 記憶層に微かにその存在を残す男に向かって、半ば無意識に言葉を紡ぐ。 『彼』は、誰だった? 何故、思い出せないのだろう。 何故今になって、思い出したのだろう。 何故あの時、『懐かしい』とさえ、思った……? 「イザーク?」 「あ……あぁ、すまない。有難う」 「ううん。別に良いけど……どうしたの?なんか、ボーっとしてた」 「いや、何でもない。お前の話を、聞こう。 」 簡易デスクのチェアに腰掛けた彼に相対するような格好で、 は自分のベッドの縁に腰掛けた。 支給品の安物のマグに注がれているのは、彼と同じ……だと思われるコーヒー。 何故『思われる』がつくかといえば、彼女のコーヒーにはおそらく、大量のミルクと砂糖が投下されているからだった。 「兄さんはたまに、『仕事』で外に出ることがあったの」 唐突に始まった、思い出話。 どこか感情の籠もらない眼差しで、少女は言葉を紡ぐ。 「あの日……そうじゃないわね。あの時は、マイウス市とマティウス市、それにユニウス市に滞在して……最後の滞在場所が、ユニウス・セブンだった」 「そうか……」 「でもね、本当はね。ユニウス市に滞在する予定なんて、最初はなかったの」 確かに、『天才』と呼ばれた = とユニウスの接点は、見出せない。 確かに彼は、『万能の天才』と呼ばれたが、名を馳せたのはあくまでも、機械工学の分野だった。 他に医療分野等にも精通していたらしいが、ユニウスとはどうしても結びつかない。 所詮ユニウス市は、農業プラントに過ぎない。 その重要性、その持つ意味合いは理解しているが、それだけの存在だった。 「私には、記憶がない。私は、『外』に出たことさえも、なかった。屋敷の中だけが、私の『世界』だった。私の『世界』は、屋敷の中で完結していた。 私の持つ知識の大部分は、兄様からのものだった。それ以外を補足してくれたのが、ミゲル兄さんだった……」 「……ああ」 彼女の中で、確固たる位置を占める、二人の存在。 それは、彼女の持つものを思えば、当然であったのかもしれない。 しかし、何故だ。 何故 = は、そうまでして を世間から隔離した? そして、ミゲル=アイマン……。 クルーゼ隊のMSパイロット内で兄貴分だった彼が、何故それに協力したのだろう。 彼の性格ならば、外に連れ出しそうなものだろうに……。 「理由は分からない。過去には、『外』に出たこともあったみたい。でも、『記憶』している近い過去から、アカデミー入学まで、私は『外』に出たことはなかった。兄様が、それを許してはくれなかった。……うぅん。許してくれなかったんじゃなくて……『外』に行きたいといったら、酷く哀しそうな顔をした」 「哀しそう?」 「そう。ミゲル兄さんは、 は私が死にかけたとき、心に傷を負ったんだよ、って言っていた。『外』に出たら、私はまた死にかけて戻ってくると思っているんだ、って。だから私は、アカデミー入学まで、『外』に行きたい、なんて口にすることをやめていた」 「『外』に行きたかったのか?」 「分からない……」 小さく。 本当に小さく、少女は呟いた。 「分からない?」 「何故、『外』に行きたいと思ったのか、分からない。あの時は……何だか行かなくてはならない気がしたの。でも、どうしてそう思ったのか分からなかった。記憶がないから、私は過去の自分から学ぶことも出来ない。何が起因して、私の感情に訴えかけたのか分からない。それでも、行かなければならない気が、したの……」 『過去』 『記憶』 それらの持つ意味合いは、ひょっとしたらその『存在』の指標に、かなり大きな位置を占めるものかもしれない。 それがないから、少女は『分からない』という。 何故願ったのか。何故渇望したのか。 それは、確かに彼女が実際に願ったことであったというのに。 彼女は、『分からなかった』のだ。何故、自分がそれを願ったのか……。 「それでも、記憶を取り戻そうとは、思わなかったのか?」 「何度かは、思ったよ」 うっすらと、少女は笑った。 「不安だったから、欲しいと思った。いくら兄様やミゲル兄さんに大丈夫って言われても、過去がないことは単純に不安だった。でも、思い出せないの。何も、思い出せない。思い出そうとしても、頭の中に靄がかかったような……そんな感じで……」 「そうか……」 「前に私、イザークに言ったよね?『兄さんが要らない「記憶」なら、私も要らない』って。あれは、半分本当で半分嘘だった。『過去』が欲しかった。記憶の中にだけ存在する、『過去』が。私は、欲しかった……だって、記憶のない私は、『過去』さえも持っていない気がして……」 私は、一体誰なの? 彼女は常に、自身に問いかけずにはいられないのかもしれない。 まだ…… = が。いや、せめてミゲル=アイマンさえ存命であれば、状況は変わったのかもしれない。 しかし現実に、彼らはすでに彼岸の住人となっている。 彼らにその真意を問いただすことも、出来ない。 しかしイザークはどうしても、彼らに怒りを覚えずにはいられなかった。 『ヴァルキュリア』と呼ばれ、地球軍に畏怖を、そしてザフト軍に士気高揚を齎す、彼女。 その精神の脆さは、彼女の幼さにも確かに在ったのかも知れない。 しかし一番の原因は、彼女が『過去』を持たないことではないのか。 だからこそ彼女は、『自己』というものに対し、確固たる基盤を持てずにいる。 それが、彼女の精神的な身食いに繋がっているような気がして、仕方がなかったのだ。 「アカデミーでは、必死になって努力したよ。だって私は、 = の妹だから。『 』の姓だけで、周りは私に過分の期待を寄せてくれた。私も、兄様の妹だから、誰にも負けたくなかった。でも、本当はそれだけじゃない。私は『 』の出来損ないだから、だから周りにそれを、悟られたくなかった……」 「出来損ない?お前が?」 少女の言葉に、イザークは瞠目する。 誰よりも強く、誰よりも仲間想いな、『ヴァルキュリア』。 彼女の能力は、ザフト内でもずば抜けている。 それでも、自らをして『出来損ない』というのか。 何度も彼らに辛酸を舐めさせた“ストライク”さえも、おそらく少女には敵わないだろうに……。 「出来損ないだよ、私は。兄様に比べて、見てよ?」 自嘲するような笑みが、少女の口元を飾る。 『万能の天才』と呼ばれた、 = 。 その能力は、同じコーディネイターの中にあってさえも、異質だった。彼は、傑出しすぎていた。 そして、その父リヒト= 。 副議長の呼び名も高かった彼もまた、周囲に突出して優れた者だったという。 しかし、 とて引けをとらないではないか、と。イザークは思う。 「父様は、『副議長』の呼び名も高い人だった。兄様も、『天才』と呼ばれた。その二人に比べて、私は何?私が出来るのは、私が突出しているのは、人殺しの方法だけじゃない」 「それは違う」 「違わない。そして私は、兄様さえも、殺してしまった……」 茫洋とした眼差しで、少女は呟いた。 「誕生日が近かったの。兄様が出発するとき。アカデミー卒業も、すぐそこに迫っていた。兄様は、私に聞いたわ。お土産は何がいい?って。私、答えたの。母様の薔薇が欲しい、って」 「薔薇?」 「ルチア= は、植物学者だった。あの人は、地球のオールドローズをプラントにも咲かせることに成功した。それが欲しいって、言ったの」 「それは……」 「その薔薇が咲いていた場所はね、イザーク。ユニウス・セブンと呼ばれていた、農業プラントだった……」 ばらばらになっていたピースが、一定の規則性をもって少しずつ埋まっていく感覚を、イザークは覚えた。 繋がった。 = とユニウス・セブンの関係が。そう、思った。 「遺伝子を組み替えて、交配させて。地球で咲く薔薇を、母様はプラントでも咲かせようとした。私は、母様を覚えていないけど、兄様に言わせると、とても夢見がちな人だったんですって。過去、自分たちが確かに生活をしていた地球の、そこで咲く花を、あの人は何とかプラントでも咲かせようとしていたんだ、って」 華は、見るものの心を和ませる。 母はいつも、そう口にしていたらしい。 宇宙という、無限の闇の中。 隔壁に穴が開けば、それだけで命を落とす、生活の場。 だからこそ、そこで営まれる生活は、儚くも強く。 その強さを、母は大昔から原生していたというオールドローズに譬えたのかもしれない。 たとえ今は苦難の道を歩もうとも、いつか美しい花を咲かせよう。それが、彼女の願いだったのではないだろうか。 美しく咲き誇る薔薇に、彼女はプラントの現在≪いま≫を。そして未来を願ったのかもしれない。 「その薔薇がユニウス・セブンで咲いていることを、私は識≪し≫っていた。だから、兄様に頼んだの。私は、誕生日が近いのに兄様がいなくなることが、その時すごく不満だった。ミゲル兄さんは、軍人になってからあまり、家に寄り付かなくなってしまって……兄様だけだった。それなのにいなくなることが、私は不満で仕方がなくて……だから、我侭を言ったの。ユニウスに行く用事があったならともかく、その用事なんてなかった兄様に。ユニウス・セブンから、母様の薔薇を持ってきて、って」 ユニウス・セブンが核攻撃によって宇宙の深遠に飲まれたのは、それからすぐのことだった――……。 「我侭なんて、言わなければよかった。兄様以上に大切なものなんて、なかったはずなのに。なのに、私が我侭を言ったせいで、兄様は帰ってこなかった。……私が、兄様を殺してしまった」 「それは違うだろう、 」 「違わない、イザーク。私が言った我侭が、兄様を死地に追いやってしまった。あの日、兄様はユニウス・セブンに行く用事なんて、なかったのに。私が我侭を言ったせいで、兄様はユニウス・セブンに行った」 何と言ってやれば良いのか。イザークは、言葉が見つからなかった。 ただ、それは違うような気がした。 それでも、喪えば人は、それを悔やむのだ。 その存在は、絶対のもの。 大きな位置を占めるものであるから、余計に。 悔やまずには、いられない。 何故、あのときあぁ言ってしまったのか、と。あの時こうしていれば良かったのに、と。 命は尊いものであり、喪った人は、大切な存在であるから人は、悔やみ、嘆かずにはいられない。 そして少女は、身食いを続けていく。 「私はそうやって、兄様を殺した。誰がなんと言っても、私の我侭が兄様を殺したことだけは、変わらない……」 記憶がない彼女にとって、兄の存在は、その精神の拠所だったのだ。 それを彼女は、喪ってしまった。 『過去』さえ持っていれば、少女もそこまでの喪失を抱かなかったのかもしれない。 しかし『過去』を持たない彼女にとって、兄は全てだったのだ。 「卒業後の私の配属先は、後方の守備隊と決まっていた。『 』の娘を前線に出す気など、軍の首脳部にはなかったみたいだった。でも、兄様が死んで……だから私は、ごり押しで前線を希望した。ナチュラルが憎かった。核ミサイルを投下したナチュラルが、ただ憎かった。でも、本当は……本当は……私は、私を殺してしまいたくて堪らなかった……!!」 「 ……!」 堪らなくなって、腕を伸ばした。 安物の支給品のマグが床に落ちて、無粋な音を奏でる。 それさえも、どうでもいいと感じた。 床にコーヒーが侵食していくように、じわじわと精神を何かが侵蝕していく。 その感覚を、必死になって振り払いながら。腕の中に在るものだけが、真実だった。 どれだけ抱きしめても、抱きしめ足りない。 いくらかき抱いても、次の瞬間には掻き消えるような、存在の危うさがあった。 そうか、と。唐突に思った。 だから、『彼女』だけ別なのかもしれない。 という存在を繋ぎとめるのに、抱きしめる術≪すべ≫しか持たない。 その渇望と焦燥が、彼女を他と分けてしまっているのかもしれない。無意識の内に。 愛しいと思って抱きしめたのは、腕に抱いた存在は、彼女が初めてだったから――……。 それが正しい、自ら抱いた感情への決着であったのか、それは彼にもわからない。 けれど、それでいいと思った。 そしてだからこそ、彼は言葉を紡ぐ。 愛しくも脆いその存在がこれ以上、自ら精神≪ココロ≫を蝕むことのないように。 「イザークはいつも、そうやって私を甘やかしてくれる……」 「え?」 虚を突かれたようなイザークに、 は微かに笑う。 甘やかして、大事にされて。 その感触は、たいそう心地よいものだった。 けれど同時に、酷く重く感じてしまうのだ。 自分は、『人殺し』だから。 本来であれば、優しくされる謂れなど持たない、おぞましい存在でしかないのだ。 精神的に身食いを続ける彼女は、イザークの優しさや愛情が真実であればあるほど、イザークから遠ざかる。 彼女から見てそれはあまりにも眩しすぎて……同時に、自らにその資格などない、と。そう思い込んでしまうものだったから。 「 。貴様はそんなに、大きな存在か?」 「何?」 「人の生死を左右できるほどの、貴様は大きな存在か?偉大な存在か?違うだろう?」 何を、イザークは言わんとしているのだろう。 分からずに、少女は脳裏に疑問符を浮かべる。 腕の中に閉じ込められているこの状態では、イザークの顔を窺うことも出来ない。 ただ、そこに確かに存在する温もりに、縋りつきたくなった。 それさえも、自らの浅ましい感情に起因するものであることを、知っていたけれど。 『兄』が全てだった。 『兄』が、全ての拠所だった。 『記憶』を。そして『過去』を持たない彼女は、『兄』という拠所を持って初めて、自己を認識することが出来た。 (今度はそれを、イザークに負わせる気? ) そんなことは、したくない。 出来ない。 否。 『してはいけない』 「俺たちは軍人だ。俺も貴様も、この両の手が綺麗だなどとは、口が裂けても言えない。でも、 。殺すだけじゃなく、護れたものもあっただろう?護りたくて、必死になっただろう?その過去まで、貶めるのはやめろ」 「イザーク……」 「俺たちは確かに、人を殺した。そして、これからも殺し続ける。軍人だ。俺たちは、そんな存在だ。でも、ニコルやアスランやディアッカや、貴様の兄たちは……俺たちが護りたいと願った存在は、違う。貴様が殺したわけでも、貴様の兄が貴様を罰しているわけでもない。うまく言えないが、それだけは絶対に違う」 「私……は」 「いい加減、『 』を愛してやれよ、 」 「私……を?」 唐突に、イザークは言った。 そしてそんなイザークの言葉に、 は呆気に取られてしまった。 何を言っているのだろう。 そう、思った。 愛せる筈など、ないではないか。 「貴様は貴様を……貴様自身を憎みすぎている。内に憎悪を抱くから、身動きが取れなくなってしまっている。いい加減、愛してやれ。ニコルが、アスランが、ディアッカが、ラスティが、そして貴様の兄たちが愛した『 』を、 自身が愛してやれ」 「でも……」 「アスランもディアッカも、帰ってくる。伊達に赤を着ているわけじゃないんだ。信じてやれ。それとも、あの二人が信用できないのか? 」 「なっ……!そんなことはない!!」 軽く腕を突っ張るようにして、イザークの腕の中から逃れながら、 は顔を上げた。 仰ぎ見たイザークは、苦笑している。 「貴様のせいで死んだんじゃない。自分を憎み続ける貴様の心が、それを憎む理由にしているんだ。俺たちは、この手で殺める場合以外、誰も殺せない。俺たちは、人の生死や運命を左右できるほどの存在じゃない。そうだろう?」 「うん……」 「憎むのをやめて、好きになれ。 が、『 』を好きになれ」 「……」 「探すか?貴様の記憶」 無言の に、イザークは尋ねた。 今日の彼は、いつも以上に突拍子がない。 話の流れについて行きづらく、おまけに何だか普段の彼と違っていて、 はどぎまぎしてしまう。 「探す?」 「思い出す方法を、探してみるか?不安……なんだろう?」 『過去』という基盤を持たないからこそ、少女は自らを憎み続けるのかもしれない。 『自己』を確立できず、そして訪れた近しい人たちの死に、内に憎悪を溜め込んでいるように思われた。 そこから解放されるには、『思い出す』他ないのではないか。 「思い出し……たい」 イザークの言葉に、 は頷いた。 もう、『兄』はいない。 自分自身で『自己』を確立せねばならない。 そのために、『過去』が欲しかった。 「俺も協力する。探してみよう」 「うん」 だから、頷いた。 兄と似ていて……その実微妙に違うアイスブルーの瞳を見つめながら。 頷いて、 は少し、弾んだ声を出した。 「帰ってくるよね?」 主語は、ない。 けれどそれが何を指しているか、分かる。 分かるから、イザークは頷く。 漆黒の瞳には、確かに信頼が在ったから。 彼らが帰ってくると、信じていたから。 だから、頷く。 (帰ってくる。帰ってくる) 心の中で、呟く。 『少女』という存在が在るからこそ、彼らはきっと帰ってくる。 その認識が、ある。 しかし、もし帰ってこなかったのだとしたら――……? (それは、俺たちの責任だ。 じゃない) だから、と彼は思う。 身の内に、少女は憎悪を抱え込んでいる。 激しい自己への憎悪がある。 だからこそ。 だからこそ、帰って来い、と。 少女を真実思うならば、帰って来い、と。 彼は、願わずにはいられなかった――……。 じわじわと侵蝕していく感覚。 床に広がっていくそれと同じように、精神を侵蝕していく感覚から、目を瞑った。 思っても見なかったのだ。 やがて世界が侵蝕され、揺らいでしまうことなど――……。 アニメシーンがまったくないと、更新の早いこと早いこと。 自分のものに出来ないと、アニメシーンって書けないのかなぁ、とか。 このとき、何を思うだろう、みたいな。 この表情の理由は?みたいな。そういうの。 自分のものに出来ないと、書けないからなのでしょうか。 しかし、イザークがすっかり別人じゃないですか? すっかり運命の隊長を書いている気分になってしまう……赤なのに。 ザフトレッドの隊長の筈なのに。 物語りもようやく中盤、といったところでしょうか。 これからも頑張ります。 ここまでお読みいただき、有難うございました。 |