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胸中愛





――――天空に輝き渡る太陽が如き黄金色の髪
大地の恵みと生命の象徴たる翡翠の双眸――――



ダーダラス大陸は北方に位置する、ノーサンガルディアス王国。
緑美しい大陸一の大国であるその国は、同時に古い因習に縛られる国でもあった。
金の髪と翠の瞳――。
その二つを兼ね備えた存在は、その国では「神の子」、若しくは「神の愛し子」と呼ばれ、敬愛されると同時に忌避されていた。
「神の子」であるがゆえに、赦されること。「神の子」であるが故に、罪とされること――……。

「神の子」に対する最大の、禁忌
それは、同じ「神の子」同士の婚姻
決して赦されざる、それは大罪とみなされていた――。



――胸中愛華。


それは、ノーサンガルディアスの歴史に記された、決して赦されざる罪に溺れた、二人の異母兄妹の物語である――。

主な登場人物紹介
ラフィラス・ノーストリア・シャンドゥール 東竜軍・蒼綺将軍。公爵。「神の子」であり、その才は主に軍事において発芽している。最高の将軍であり、未だ敗北を知らぬことから『常勝将軍』と呼ばれている。二十歳。同じ『神の子』であるセラフィナを深く愛している。愛称はラフィー。
セラフィナ・ノーストリア・シャンドゥール ラフィラスの五歳年の離れた最愛の異母妹。禁忌とされる『神の子』同士の婚姻の果てに生まれた。それ故に、どこか自分を蔑ろに扱う傾向がある。双子の妹がおり、溺愛している。十五歳。愛称はフィーナ。
アナスタシア・ノーストリア・シャンドゥール ラフィラスの異母妹でセラフィナの双子の妹。ややシスコンの傾向があり、セラフィナに手を出そうとする相手に毒薬を贈ることを趣味としている。とにかくセラフィナが一番大切。外見は可愛らしいが、中身は少々過激。ラフィラスも手を焼いている。愛称はターニャ。
アシュレイ・マリアス・ハルミスラ ラフィラスの無二の親友で、アナスタシアの恋人。冷静な頭脳を持つ優れた参謀であり、温和な性格の好青年。弓矢の名手でもある。子爵。二十歳。愛称はアッシュ。



タイトル 本文より
胸中愛華 私は、罪を、犯しました――……。
詩のようなもの。ラフィラス独白。今後の展開を若干ネタばれしているので、ご注意を。
夜会〜コクハク〜
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ともすれば命すら投げ出しかねないその激情を、私は案じ、愛しまずにはいられなかった。
運命〜デアイ〜
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それは私に、痛みしか与えなかった。それでも、私は神に感謝を捧げずにはいられなかった。
恐怖〜イノリ〜
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何かが私を揺さぶり、根底から覆そうとしている。理性ではなく感情に働きかけるものの名前。それは喪失に対する、『恐怖』――……。
渇望〜ネガイ〜
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私にとってそれは、あまりにも身近すぎて。そのことに対する感覚は、麻痺していた。
永遠〜キズアト〜
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痛みとともに、永遠を。私はお前に遺そう。それこそが、私の願いなのだから。